中国のひずみとは

最初にクリックしていただけるとありがたいです。

人気ブログランキングへ



昨日も触れたが、北京で開催された日中間FTA協定に就いての会談で、中国は温家宝首相が野田総理に対し、尖閣列島は中国の確信的利益だ云々と言い、野田総理が中国の人権問題で切り返したとか。これに対し、例えば次のような記事では、中国が日本と韓国を差別して処遇したと言っているが、正確には胡錦濤氏が逃げたと言うだけのことだろう。いま正面から日本とやり合うことが出来ないのだ。

赤文字は引用

胡主席、野田首相と会談応じず ウイグル会議など背景?

中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が14日、日中韓首脳会議で訪中した野田佳彦首相との単独会談の求めに応じなかったことが分かった。一方で胡主席は韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領とは会談した。日韓両首脳に対し、対応に差をつけた異例の措置だ。

これは次の記事でも触れているが、中国はすでに後戻りの出来ない道に突き進んでしまっており、今から民主主義も人道主義も採ることが出来ない。そんなことをすれば政権崩壊につながり、中国に於いて国家とは権力を有する者のために存在するのだから、その人間達が存在できなくなる。しかし、今更後戻りできないのではなく、最初からその道に突き進むしかなく途中で方向変換などは中国に於いては到底不可能だった。中国が1000年前から全く進化していない所以であり、何度もそれは書いてる。

つまり胡錦濤氏にとって、野田氏と会ってもどうせ国内の突き上げをかわすためには尖閣や特に亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」の代表大会が東京で開催されていることにクレームを付けなければならない。しかし、当たり前に考えて、これは完全な中国の内政干渉であり、ウィグル人が別に犯罪も犯さないのに日本に入国することを拒否する理由はないし、また彼らが日本で日本に敵対しない限りどの様な大会を開いても干渉は出来ないだろう。なにしろ、日本は中国などと違い、反日日本人の日本打倒デモや大会が開かれても自由なのだ。胡錦濤氏にしてみればそのくらいのことは分かっているだろうが、しかし野田総理に会うのであればそれに触れないわけには行かない。そうしなければその弱腰姿勢が国内で反発を食い、反胡錦濤派に口実を与える。現に、政府に管理された中国ネットではテロリスト(ウィグル亡命組織)に行動させる日本を制裁しろと言う声がわき上がっている。まあ、五毛党の出来コメントだろうが、それが日本にとってとやかく言われる筋合いではない。

日本国民の対中感情は確実に悪化している。野田総理としてもそれを無視することは出来ない。先年の尖閣諸島漁船衝突事件で、民主党政権の画策により船長をそのまま解放してしまったことで一気に反中国、および民主党への軟弱姿勢に対する国民の怒りが爆発した。慌てて民主党は対中防衛大綱を見直さなければならなくなった。

与那国島には自衛隊は駐屯させない、なぜなら中国を刺激するから、等と言っていたあのチキン北澤、当時の防衛大臣が一転して与那国島に自衛隊駐屯を指示した。それだけ国民の対中反感意識は爆発したし、民主党はあれで大きな打撃を受けた。

今も石原東京都知事の呼びかけに応じて、尖閣列島の買い取りのための寄付金が11日間で4億を超すなど、確実に日本国民の意識は変わっている。かつて、台湾の李登輝元総統が訪日したいと言ったとき、中国からの横やりで、政治活動をせず病気治療で入国させたなど極めて弱腰だった頃とは日本人の意識が変わってきているのを中国としてなんとかしなくてはならない。なにしろ、技術や資金の大きな供給元なのだ。

パンダやトキでごまかそうとしたがそれも通用しなかった。

野田総理はそのような世論を背負って北京に臨んでいる以上、胡錦濤氏としては逃げるより仕方がないだろう。あれは外交上の非礼だ。相手国の首脳がわざわざ来ているのに会わないなど世界的に見れば中国の非礼、野蛮さがまた目立つだろうが、背に腹は代えられない。だから逃げた。

温家宝氏は嫌々会ったが、案の定形式だけ例の大会について口をとんがらせたようだが、それ以上は触れなかったし、そして野田総理は日本の対中感情が悪化していると返したとのこと。

なお、半島の李明博氏も、国内世論の手前、売春婦に金を恵んでくれと一応は言ったらしいが、野田総理は熟慮すると応えたとか。本当はうるさい黙れ、と言うべきだろうが党内の朝鮮犬の吠えるのが今は困るからそう言っただけだ。選挙前は李明博氏はかなり強面で日本に迫ったが、日本は相手にせず、そして選挙が済んでしまえばあえて李大統領からしつこく言えるようなものでもない。中韓共に、国内の突き上げが発言を制限してているわけだ。

さて、中国が口さえ開けば中国の確信的利益だとか、日本の右翼だとか言わなければならないほど国際的にも極めて選択肢が限られてきている。これがどの様な結果を生むかは、丁度良い記事があったので紹介したい。これは桜井良子氏が書いた記事の中にあるのだが、

「 故・趙紫陽総書記の政策立案者 呉国光氏が予測する中国の未来 」


『週刊ダイヤモンド』  2012年5月12日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 935 

改革をやめた中国が89年の天安門事件と趙の失脚以降、社会の安定化のために採用した手法を、呉氏は4つに分類する。


あの天安門は確かに中国にとっては一つの危機であった。本来ならあれはチャンスだったはずだが、中国に於いては政権の崩壊につながりかねない危機であり、西欧向けには改革解放、自由主義者の、新時代の指導者というイメージを売っていた小平氏のイメージが地に落ち、西欧が一斉に中国に対し制裁を加えた。

当時の中国は、(今でも同じなのだが)外資に引き揚げられると経済が成り立たない状態であったから、さまざま手段を講じてイメージの回復と、国力の増強、政権の安定に努めた。これが次の

(1)締めつけ強化、(2)甘い汁の懐柔策、(3)精神の買収、(4)制度改革である。

(1)についてはすでに中国政府は世界第2となった軍事費を上回る予算を国内治安対策費に充てるに至った。


と言うことなのだが、天安門をチャンスとして改革解放をより進めるとか、民主化を目指すなどは中国には不可能であることは明らかだった。つまり、実際はチャンスなどではなく、とにかく国民支配と他国の干渉を跳ね返すことに力を注いだ。

その結果25年に渡って中国の軍事費は毎年二桁ずつ増加し、今では確かに世界有数の、というより核戦力を入れれば米ロに並ぶ軍事大国になった。しかし、その負担は中国にとってすでに絶えがたい物になっている。一度ふくれあがった軍事力を縮小させることなど出来ないし、その維持にもかつてとは比べ物にならないほど金がかかる。つまり、中国の軍事費はおいそれと削減できない体質と規模になっており、今まで通りの成長が見込めないとするならそれは大変な負担になる。

さすがに対外的に必要とする軍事力を頭打ちにさせながら、それを超える治安維持費を費やさなければならなくなった。治安維持費とは簡単に言えば人民の不満を力で押さえつけるコストであり、これが増大しているとはそれだけ人民の不満が高まり暴発する危険性が増していることを意味する。

また人民を押さえつける武装警察も家族や親戚が居る。となると、政府はその家族、一族郎党をまとめて優遇しなければならない。自分の家が食うや食わずの警官や兵士が人民に対して暴力をふるうことを簡単にするわけではないだろう。あくまで彼らも弾圧する方のクラスに組み入れなければならない。そのコストは天井知らずにあがる。

武装した警官や兵士に共産党を裏切らせないためには、彼らもまた買収しなければならないと言うことだ。軍事費や国内治安維持費は今後経済が傾けば傾くほど増やさなければならない。経済の悪化に伴い国民の不満が増大するからだ。これは矛盾であり、早晩中国経済を大きく蝕む。

(2)は、89年以前は農村部を対象としていたが、89年を境に、それは都市部の組織幹部、インテリ、地方官僚、企業家、そして外国人などに集中したという。代表例が、資本家の共産党入党である。本来、労働者の党である共産党に資本家を入党させ、経済成長と党の利益の一体化体制に、とてつもない数の人びとが群がる状態を創り出し、社会の安定の政治的基礎につなげたという説明だ。

これは警官や兵士を手なづけるのと同じ方法であり、共産党を金儲けの道具にすることで、彼らを引き揚げ、大多数の国民から切り離すことで、多数の国民を少数の資本家達が押さえつけるようにしたと言うことになる。共産党に逆らっても儲からないが、入党して儲ける方が中国人にとっては当然理に適っているのだ。

(3)は日本に数多く作られつつある孔子学院を考えればよい。

あとは情報管理の強化、プロパガンダの強化(その中には反日プロパガンダも大きな部分を占めている)言論の締め付けの強化一方で微笑外交などが上げられるだろう。つまり敵意を金と謀略で押さえ込もうとしているわけだ。

(4)は立法、行政、司法のあらゆる分野で体制の長を共産党幹部が占めるということだ。一例が裁判長の任命は共産党が行い、司法側はそれを追認する仕組みをつくったことである。

徹底した法律の私有化であり、法律は共産党のための物、それ以外の意味がない。むろん、国際法も共産党のための法律に優先することなどあり得ないし、冒頭のように他国の法律など最初から念頭にない。世界はすべて共産党が決めた法律で動くのだ。

こうして89年以降、中国は経済成長を成し遂げ、社会を安定させた。この手法が機能したと彼らが信じるが故に、もはや改革はないというのだ。しかし、政治改革なしの経済改革は趙の予言通り、貧富の格差拡大、法治を踏みにじる不公正社会の出現などを生み出し、問題はかえって悪化した。呉氏がこの先に予見するのは、社会の不満の行き着く先としての革命の勃発である。その間、中国共産党の体質が決して変わらないことを、日本は肝に銘じなければならない。

中国共産党は絶対に変わらない。中国共産党のための国家であり、人民であり法律であり、外交でありそれがすべてなのだ。これは中国が1000年前から続けているやり方であり、だからこそ今更中国が変わるなどあり得ない。1000年以上前から変わらないのだから。

しかし中国では、民主化の声を抑えるために、中国式社会主義は進化を続け、独自の理想的なシステムになっているとの宣伝はずうっと前から繰り返している。


「わが国の人民、民主的権利は十分に保障」=中国共産党機関紙

  「(中国では)人民が秩序正しく政治に参与したいという情熱が高まっている」と論じ、「政務を公開して『陽光に照らされる政府』つくる考えが確立された」と主張。公聴会やインターネットによる大衆からの質疑受付で「人民大衆の知る権利、政治に参画する権利、意見を表明する権利、政府を監督する権利が十分に保障された」と説明し、「人民が、幅広い方面で(国の)主人公になることが実現した」との考えを示した。
  
 おそらく言っている本人も信じていないだろうし、中国人自身が戯言だとせせら笑っている。十分に権利を保障されている人民が、軍事費を超える治安維持費が必要なほど年間数万、数十万件もの暴動が起こすわけがないことくらい、日本の左翼連中以外は理解している。こんな分かり切った嘘を宣伝しなければならないほど、中共は追いつめられていると見て良いのではないか。

十分に権利が保障されているのは、十四億の人民のうち数パーセントであり、上記の方策を採った結果、格差はすでに限界を超えている。先日紹介した、天安門を経験したという中国人の言葉を借りれば、本当に貧しいままそこの押し込められた大多数の人民は、共産主義とは何か、中国はどの様な国かなど考えるだけの情報も与えられず能力も与えられず、誰に地を搾り取られているのかも分からずに不満や怒りをため込んでいるのだ。彼らを説得などできない。力で押さえつけるしかないのだ。

中国の格差は近年ますます拡大している。もっとも世界的に資産格差は極めて広がっており、アメリカなどはもうすでにその限界を超している。しかし、個々の国民の能力が低いために、それを自ら改革することが出来ず、アジテーターに煽られ単に暴力で怒りをぶつけるしかない。それが今のアメリカの姿だ。

ところで、私は物乞いを見たことがない。子供時代の話だが、都会には居たと言う。しかし私の田舎には、浮浪者は居たが今のホームレスと同じで物乞いはしていなかったようだ。むろん、それでも親切な人から物をもらうことはあったろうし、それは今のホームレスの中にもいる。日本ではホームレスは物乞いはしない。

アメリカに最初に行ったとき、驚いたのが偉そうな物乞いがたくさん居たことだ。特に汚い恰好をしているのではないが、近寄ってきてギブミーコパー(最初は聞き取れなかったし、恰好から物乞いだとは思わなかったので、パードンミーを繰り返したら、呆れて行ってしまった)。その後も、見るからに本職と思える汚い物乞いも見たしアルバイトじゃないかと思える連中も物乞いをしていた。

当時はアメリカは豊かな国だとの印象を持っていたので、実際アメリカの貧富の差は日本どころではないと改めて思った。今の中国でもそうだが、外から見える姿は金持ちの中国人アメリカ人であり、また日本に来る彼らもそれだけの余裕があるし、ビジネスで行っても接触するのは一般庶民ではない。それが報道されているのだろう。

私も通常仕事で行った時は一般人に接触することはない。ホテル暮らしをし、レストランで食事をし、タクシーで移動するのでは、そうだろう。が、一人で行ったときは地元の人間が行くカフェテリアで食事をしたり、スーパーで買い物をしたり、小さな商店で買い物をしたり、そこいら辺にたむろしている兄ちゃん達と話し込んだりもした。英語以外は拙い会話力だが、結構面白かった。(まあ、英語もたいしたことはないが)

地下鉄やバスで移動しいろんな人たちと直接接したが、そのような多くの人たちは当時の日本人の平均よりも決して豊かには見えなかった。今はそれどころではない格差が出来ている。

むろん中国の格差はすさまじい。

中国 物乞い生む格差社会

 物乞いの存在は、貧富の格差の象徴の一つと言える。世界銀行の調査では、中国の41・4%の富は、わずか1%の家庭が独占している状態だ。中国でフェラーリやポルシェなどの高級車が走り回る姿は、いまや日本以上に頻繁だ。中産階級も増えてきてはいる。だが、貧困層がいまだに多数を占めているのが実態だ。

確かに、昔に比べ貧困層の収入も増えたのかも知れないが、格差の拡大はそれどころの話ではないし、それに物価の上昇は地方から差別を受けながら都市部で働きに来ている人間達にとっては相当つらいだろう。中国では、富の45%を国民の1%が占めているとのことだが、これは格差など表現できるレベルではない。

日本に来る中国人がこの1%に入るわけではないにしても、中国人が日本に金を落とすから日本経済が成り立つ等々の寝言を言う者が居る。中国市場は、日本の十倍大きいと抜かす輩が居る。

人数が多くても、金がなければ物は買えない。中国市場の大きさは極めて限られているのだ。しかし今ここで書くのはそのことではない。

 中国の公安当局が2011年に摘発した児童誘拐事件は全国で5320件で、8660人を救出した。日本では考えられない数字だ。しかもこれは氷山の一角かもしれないというから、戦慄(せんりつ)を覚えてしまう。
 
 8600人の児童誘拐はおそらくその十倍以上の、ほんの一部だろう。

 ただ、誘拐された児童を救おうとする動きもある。物乞いの子供たちを写真に収め、ネットで公開する運動が昨年始まり、多くの人たちが写真を寄せ合って事件解決に一役買っている。
 
 アメリカにも子供の誘拐は多いが、多くは離婚して親権を持てなかった親による誘拐が多いという。むろん、犯罪も多い。しかし、中国は人身売買なのだ。子供が商品であり、誘拐されなくとも、女の子が生まれてしまったので一人っ子政策では要らないとばかりにその子を売る親もいるという。間引きするよりはましだ位に考えるのかも知れないが、そこまで中国人の精神は壊れている。
 
 これは物乞いが多いからと言う問題ではない。物乞いが多くても彼らを置き去りにし富める者に富を集中しなければならない中国というシステムが腐りきっているからだ。
 
 国が豊かになったらより多くの人間に公平に分けると言うことが、平等を理想とする共産主義国家、中国では不可能なのだ。一部の人間が豊かになるための国なのだから、そのシステムが壊れれば国が壊れる。しかし、経済は行き詰まり、軍事費や治安維持費はふくれあがる一方だ。

 どんなに経済発展しても、物乞いの存在がなくなることはないかもしれない。しかし、交差点でフェラーリの窓ガラスをたたく物乞いの姿を目にすると、中国の貧富の格差の深刻化にため息ばかりが出てくる。
 
 中国だからこうなのだがため息をついても仕方がない。中国が中国である間は決して無くならない。いや、もしかしたら、北京オリンピックの時そうだったように、いずれ物乞いは外国人の目に付かない場所に追いやられるのかも知れない。そして中国には物乞いは居なくなった、人民の権利は保障されていると言うのだろう。


上記に引用されているURLの記事を読む場合は下記の「続きを読む」をクリックしてください。但し、内容確認以外なら、敢えて読む必要はありません
以下は参照用の資料ですので、確認をされる以外はあえて読む必要はありません。


胡主席、野田首相と会談応じず ウイグル会議など背景?

中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席が14日、日中韓首脳会議で訪中した野田佳彦首相との単独会談の求めに応じなかったことが分かった。一方で胡主席は韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領とは会談した。日韓両首脳に対し、対応に差をつけた異例の措置だ。

 14日、中国政府が反発する亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」の代表大会が東京都内で開催されており、これに抗議する意図があったとの見方が出ている。また、尖閣諸島を巡る問題で日本を牽制(けんせい)する意図だとの受け止めもある。

 胡主席は14日午前、北京の人民大会堂で野田首相と李大統領の表敬訪問を受ける形で3者会談を行った。終了後、野田首相は帰国の途に就いたが、李大統領は会場に残り、胡氏との個別の会談を実施。北朝鮮問題などで意見を交わした。

14日、世界ウイグル会議の代表大会で発言するラビア・カーディル主席


「 故・趙紫陽総書記の政策立案者 呉国光氏が予測する中国の未来 」


『週刊ダイヤモンド』  2012年5月12日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 935 


中国はこれから先、どうなるのか。成長を続ける経済と過去四半世紀続く異常な軍拡を背景に、他国の領土領海への野心を当然の権利のように突きつける中国共産党がこのまま、大国として存続するのか、どこかで挫折するのか、挫折ならどんな形で起きるのか、アジアと世界への影響はどの程度なのかなど、中国の未来展望はすべての国々にとってあらゆる意味で切実である。

呉国光氏の『次の中国はなりふり構わない「趙紫陽の政治改革案」起草者の証言』(産経新聞出版)はこうした問いに適切な示唆を与えてくれる。カナダ在住の氏は、中国共産党機関紙「人民日報」の評論部編集主任を経て1987年、趙紫陽総書記の下で「中共中央政治体制研究の討論チーム」の一員となる。

当時趙は胡耀邦総書記の失脚を受け、後任として総書記(代行)に就任したばかりだった。趙も89年に失脚し、2005五年の死まで16年間、軟禁生活を強いられたが、趙はテープ30本分の回想録をひそかに残した。生々しい路線闘争の回顧の中で、呉氏が趙のチームに入った当時の情勢を趙は、「改革開放の推進を再度強調し、左への揺り戻しを食いとめようと試み、思想の硬直化を批判した」「左派の動きをどう牽制するか、その対応策を案出するのに精力と集中力の大部分を費やした」と描写している。

趙が社会の自由化なしには中国の未来はないと考えていたことは、回想録からも呉氏の著書からも明らかだ。趙は肉声でプロレタリア独裁の国々の大多数が歴史から消えていったと振り返り、「西側の議会制民主主義体制ほど強力なものはない。現在、実施可能な最高の体制である」と述べ、「国家の近代化を望むなら、市場経済を導入するだけでなく、政治体制として議会制民主主義を採用すべきだ」、でなければ、「権力と金が取引され、腐敗が蔓延し、社会は富裕層と貧困層に分裂するだろう」と予見した。

呉氏は趙を失脚させた小平の専横を「毛沢東の独裁も顔負け」と断じ、趙失脚後の中国は政治改革を拒み続けいかなる改革もやめて、展望のない袋小路に立ち至ったと分析する。

改革をやめた中国が89年の天安門事件と趙の失脚以降、社会の安定化のために採用した手法を、呉氏は4つに分類する。

(1)締めつけ強化、(2)甘い汁の懐柔策、(3)精神の買収、(4)制度改革である。

(1)についてはすでに中国政府は世界第2となった軍事費を上回る予算を国内治安対策費に充てるに至った。

(2)は、89年以前は農村部を対象としていたが、89年を境に、それは都市部の組織幹部、インテリ、地方官僚、企業家、そして外国人などに集中したという。代表例が、資本家の共産党入党である。本来、労働者の党である共産党に資本家を入党させ、経済成長と党の利益の一体化体制に、とてつもない数の人びとが群がる状態を創り出し、社会の安定の政治的基礎につなげたという説明だ。

(3)は日本に数多く作られつつある孔子学院を考えればよい。

(4)は立法、行政、司法のあらゆる分野で体制の長を共産党幹部が占めるということだ。一例が裁判長の任命は共産党が行い、司法側はそれを追認する仕組みをつくったことである。

こうして89年以降、中国は経済成長を成し遂げ、社会を安定させた。この手法が機能したと彼らが信じるが故に、もはや改革はないというのだ。しかし、政治改革なしの経済改革は趙の予言通り、貧富の格差拡大、法治を踏みにじる不公正社会の出現などを生み出し、問題はかえって悪化した。呉氏がこの先に予見するのは、社会の不満の行き着く先としての革命の勃発である。その間、中国共産党の体質が決して変わらないことを、日本は肝に銘じなければならない。




「わが国の人民、民主的権利は十分に保障」=中国共産党機関紙

 中国共産党中央委員会の機関紙、人民日報は14日、「わが国の政治体制改革は重大な進展を得た」との見出しの論説を発表した。同論説は2010年に憲法が修正され「国家は人権を尊重し保護する」の1文が盛り込まれたことにともない、「人民の民主的権利は十分に保障されるようになった」と主張した。
■「中国」、「選挙」に関する他の記事 - サーチナ・ハイライト
  村民委員会の改革を強調し、「基層群集の自治は健全に発展している」と論じた。2010年に村民委員会組織法が修正され、村務監督委員会の制度が確立されたことで、民主的選挙、民主的な制作決定、民主的な監督が実現したと称賛した。

  「(中国では)人民が秩序正しく政治に参与したいという情熱が高まっている」と論じ、「政務を公開して『陽光に照らされる政府』つくる考えが確立された」と主張。公聴会やインターネットによる大衆からの質疑受付で「人民大衆の知る権利、政治に参画する権利、意見を表明する権利、政府を監督する権利が十分に保障された」と説明し、「人民が、幅広い方面で(国の)主人公になることが実現した」との考えを示した。

◆解説◆

**********
  中国の行政単位は、上から省レベル(省、中央直轄市、民族自治区)、市レベル、県レベルの階層構造になっている。議会制度で言えば、県以下の行政単位における議員(人民代表大会代表)を直接選挙で決め、それ以上の行政単位の議員は、1つ下位の議会の代表から選抜していく。その頂点が、全国人民代表大会の議員だ。

  地方議会議員や国会議員をすべて直接選挙で選ぶ日本などの方式と比べれば、中国の議会では「一時的な雰囲気や人気だけに頼って、能力面で問題がある者が大量に選ばれる」リスクは低い。

  ただし、行政の上部になるほど、議員が「民衆から離れて選ばれる」ことになるので、政治に民意を反映させる意思や能力とは別に「周囲や上部の歓心を得た者」が地位を得やすくなるという構造上の問題がある。(編集担当:如月隼人)


中国 物乞い生む格差社会


中国総局 大木聖馬

 急速な経済発展が続く中国。首都・北京を歩いていると、4年前に初めて訪れた時と変わらずに目に入ってくる光景がある。物乞(ご)いの人たちの姿だ。

 車に乗って交差点で信号待ちをしていると、物乞いの老人はつえをつきながら、おぼつかない足取りで近寄り、窓ガラスをコツコツとたたいて慈悲を乞う。

 地下鉄に乗り、電車が動き出すや否や、盲目の男性の物乞いが伴侶に付き添われて、乗客に帽子を突き出して回る。

 かつての日本、と言っても私がまだ幼少だった1970年代後半~80年代ごろだが、時折目にしたことがある光景だった。子供心には恐る恐る眺めたその光景が、いまの中国には日常として存在している。

 物乞いの存在は、貧富の格差の象徴の一つと言える。世界銀行の調査では、中国の41・4%の富は、わずか1%の家庭が独占している状態だ。中国でフェラーリやポルシェなどの高級車が走り回る姿は、いまや日本以上に頻繁だ。中産階級も増えてきてはいる。だが、貧困層がいまだに多数を占めているのが実態だ。

 北京のCBD(中央ビジネス地区)を歩いている時のことだ。今時風の2人の若い男女が話しかけてきた。「もし良かったらパンをもらえないか」。一瞬耳を疑った。若者たちは「田舎から出てきたばかりでお金がない。10元(約130円)をくれるだけでもいい」と続けた。

 その瞬間、3年前に中国の新疆ウイグル自治区トルファンに行った時のことを思い出した。観光名所の古城を訪問していた時、ずっと付いてくる4、5歳の少女に気がついた。ほほ笑みかけると、少女は「お金、お金」と話しかけてきた。

 私が渡そうとすると、一緒にいた友人から「あげてはダメ。子供の時から物乞いすることを覚えさせてはいけない」といさめられた。

 CBDのその若者たちがどのような経緯でパンやお金を乞うようになったのかはわからない。だが、こうした精神構造をつくり出す社会のひずみは、歴然と中国社会に存在している。

 中国で物乞いが犯罪に利用されているのも事実だ。あわれみの情を生みやすいとの理由で、幼い子供たちを誘拐し、物乞いをさせる犯罪が絶えない。子供たちの体に硝酸などの劇薬をかけて障害を負わせ、より多くのあわれみを買おうと画策する犯罪者も存在する。

 中国の公安当局が2011年に摘発した児童誘拐事件は全国で5320件で、8660人を救出した。日本では考えられない数字だ。しかもこれは氷山の一角かもしれないというから、戦慄(せんりつ)を覚えてしまう。

 ただ、誘拐された児童を救おうとする動きもある。物乞いの子供たちを写真に収め、ネットで公開する運動が昨年始まり、多くの人たちが写真を寄せ合って事件解決に一役買っている。

 どんなに経済発展しても、物乞いの存在がなくなることはないかもしれない。しかし、交差点でフェラーリの窓ガラスをたたく物乞いの姿を目にすると、中国の貧富の格差の深刻化にため息ばかりが出てくる。

(2012年5月13日 読売新聞)


スポンサーサイト

コメント

No title

 個人のブログですが、管理人様と同じような意見がありましたので、参考までにご紹介します。

http://banba.de-blog.jp/wadachi/2012/05/post_4a95.html

 やっぱりハードランディングへ向けてまっしぐらなのでしょうか。治安維持費が国防費よりも膨れ上がり、もはや弾圧も限界に近づきつつある中国。さらに言えば、なんと日本国内での奇跡的な世界ウィグル会議(よくやった!)の開催などで、だんだん中国も包囲が狭められつつありますね。もう経済だけの問題では済まなくなってきたのでしょう。

 いずれにしろ、21世紀の早い段階で中国共産党が倒れないと、多分近い将来紛争や戦争まがいなことが起きるでしょうから、早い段階での中国問題解決を望みますがね。

No title

>2012-05-17 09:31 | ぽぽ様

>個人のブログですが、管理人様と同じような意見がありましたので、参考までにご紹介します。

ご紹介いただいたブログを見てきました。ほぼ、私と同じ事をおっしゃっているようです。さらに、同ブログで触れられているように、実際は大多数の農村籍として差別されている人民は、現在の中国の経済統計には入っていないと言う要素も大きいでしょうね。何から何まで、粉飾まみれの中国ですので、私自身は中国経済が日本を超えているという話は全く信じていません。

> やっぱりハードランディングへ向けてまっしぐらなのでしょうか。治安維持費が国防費よりも膨れ上がり、もはや弾圧も限界に近づきつつある中国。さらに言えば、なんと日本国内での奇跡的な世界ウィグル会議(よくやった!)の開催などで、だんだん中国も包囲が狭められつつありますね。もう経済だけの問題では済まなくなってきたのでしょう。
ええ、外(中共の外という意味で、国民も彼らにすれば外)からの批判を力で押し戻せば必ず圧力はそれに倍して大きくなります。かつての絶対的な力を持っていた時代は力による制圧が通用しましたが、現在世界を力で制圧するなど不可能です。

> いずれにしろ、21世紀の早い段階で中国共産党が倒れないと、多分近い将来紛争や戦争まがいなことが起きるでしょうから、早い段階での中国問題解決を望みますがね。

ところが、民主党政権は、口先だけで実際は何もやってません。リベラルの会みたいに、1000万人移民(実際は中国人)受け入れなんて馬鹿なことを言っているようでは 彼らが日本売り渡し作戦を進めているとしか思えません。

お久し振りです。

> たかおじさん様、

お久し振りです。

ホントは 「日本の技術を支える」 や 「物作りが国を守る」 の方にコメントしようと思っていたのですが、中国情勢の変化をコメントする方が先かなぁと思い、書き込むことにしました。

さて、北京での日中韓の会談の状況とと経団連会長の中国訪問の状況から、チャイナ・ウオッチャーの石平氏が中国政府が取って来る対日政策について警告を発しています。

それは、政治的圧力が効かなくなってきているので、FTAも絡めた経済的圧力にシフトして行くと言うもので

http://archive.mag2.com/0000267856/index.html

これを読んで、党の政治局常任委員ともあろうレベルが、中国経済の実態を把握していないのか?

→ 私は、中国を 「経済大国」 とは見ておりませんので、可能な限り 「経済 規 模 大国」と記す様にしております。 特に、地下経済の規模は世界一で(笑)、更に指導者層(国・地方政府の幹部、党の幹部)の不正蓄財による消費経済への貢献は世界でも飛び抜けた規模と理解しております。で、それが経済の足腰を弱めているのが解らない。...モラルが無いままで、健全な市場経済の発展は無い。

→ チャイナリスクに含まれる、政府・党の幹部の傲岸さが軍事力の増強に比例して増加している現状を憂慮し、中国進出を控えたりチャイナ+1を検討している動きを知らない?

と訝ったのですが、しかしながら、もうひとつの可能性、

→ 日本は金で言う事を効く、つまり通商上の圧力にて、中国ベッタリのミンスが、尖閣諸島や沖縄を売り渡す or 略取されるのを傍観する と予測している。

を考えるに当り、ミンスと日本経済界も随分と舐められたものだと思い、この情況を日本国民へ広く知らせるべきと考えコメントした次第です。

お久し振りです。

>2012-05-17 14:14 | ムフフ 様、

>お久し振りです。

ご無沙汰してます。某ブログでお見かけはしていましたが。


>これを読んで、党の政治局常任委員ともあろうレベルが、中国経済の実態を把握していないのか?

把握していたとしてもそれを認めるわけには行かないのでしょうね。

>→ 私は、中国を 「経済大国」 とは見ておりませんので、可能な限り 「経済 規 模 大国」と記す様にしております。

はい、私もそうです。あれは単なる張りぼて経済です。

>→ チャイナリスクに含まれる、政府・党の幹部の傲岸さが軍事力の増強に比例して増加している現状を憂慮し、中国進出を控えたりチャイナ+1を検討している動きを知らない?

知っているとは思いますが、国内向けの威勢の良い宣伝ではそんなことは言えないでしょうね。実際は日本の投資はすでにメコン流域やベトナム、インドネシア、ミャンマーなどに向いていますし、インドとも活発な話し合いが行われています。中国からはかなりひきあげているようですよ。それに、もともと日本の貿易依存度はOECDないでも米国に次いで低いくらいですし、近年益々低くなっており、中国は確かにその中では大きいですが収支はGDPの1%を割っているようです。 要するに、中国の経済圧力は痛くも痒くもないと言うことでしょうね。


>→ 日本は金で言う事を効く、つまり通商上の圧力にて、中国ベッタリのミンスが、尖閣諸島や沖縄を売り渡す or 略取されるのを傍観する と予測している。

かもしれませんが、民主と言えども自分で物を考える能力など無く、国民の顔色を見て右往左往しているだけです。中国様の言うことを聞きたくも、無理でしょうね。尖閣列島買い取りのための寄付金が20日間で7億円を超えたそうです。このような動きは、民主党と言えども無視は出来ないでしょう。

連中は馬鹿ですから自分で考え判断など出来ません。中国の脅しやすかしよりも自分の延命が第一です。

>を考えるに当り、ミンスと日本経済界も随分と舐められたものだと思い、この情況を日本国民へ広く知らせるべきと考えコメントした次第です。

しかし、確実に日本人の意識は変わってきています。対中意識の悪化は総統進んでいるようですよ。ですから、石平氏の言うように

>「日本としてこのような外交攻勢にどう対応すべきなのかにかんして言えば、
>それをいっさい無視して日本の立場を貫いていくべきというのは、
>筆者の私自身の意見なのである。」

と言うことに尽きると思います。

No title

 ユーチューブで申し訳ないですが、ペマ・ギャルポ氏のご意見が動画配信されております。

http://www.youtube.com/watch?v=ooGma1Ezvm0

 この動画の内容から、なんとなく、中国は現在のシリア・アサド政権のやり方を模倣しようとしているような気がしますね。いや、逆にアサド政権側に先に形だけの議会選挙を実行させて、その後国際社会の目をある程度欺けるためやはり形ばかりの選挙なり多党制導入をやるつもりなのでしょうか。

 実際、カムフラージュに過ぎないとはいえ、アサド政権も一応は議会選挙を行いましたし、中国も現在の混乱を収めるため、何らかの国際的なアピールというか、ごまかしを行う可能性はありますね。これではペマ・ギャルポさんが心配するのもうなずけるものです。

No title


>2012-05-25 21:34 | ぽぽ様

> この動画の内容から、なんとなく、中国は現在のシリア・アサド政権のやり方を模倣しようとしているような気がしますね。いや、逆にアサド政権側に先に形だけの議会選挙を実行させて、その後国際社会の目をある程度欺けるためやはり形ばかりの選挙なり多党制導入をやるつもりなのでしょうか。

シリアに限らず、見せかけの選挙を行う独裁国家はたくさんあります。典型的なのが北朝鮮で、投票率はほぼ100%。理由無く棄権すれば逮捕されます。必ず投票して指定された名前を書く仕組みです。これは北朝鮮は普通選挙と言っています。

中国には以前から地方レベルの選挙がありますが、候補者は許可制であり、中共が許可を与えなければ立候補できず、中共の指定した立候補者以外は立てません。

また、中国は共産党独裁ですが、野党もあります。ただし、野党はすべて中共の指導を受けなければ存在できず、いずれも中共内部にある(?)野党です。

> 実際、カムフラージュに過ぎないとはいえ、アサド政権も一応は議会選挙を行いましたし、中国も現在の混乱を収めるため、何らかの国際的なアピールというか、ごまかしを行う可能性はありますね。これではペマ・ギャルポさんが心配するのもうなずけるものです。

中国に選挙があることすら知らない日本人が大勢いますが、選挙があると知って民主化が近いと勘違いする人もほとんどですね。

ロシアなども普通選挙ですが、必ず不正があります。あれは不正選挙です。

ギャルポさんのみならず、心配以前に全く信用すべきではないですね。

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)