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アジアの春


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先頃大きな話題になったのは、長らく軍政の続いているミャンマーで民主選挙があり、スー・チー女史が率いる野党、国民民主連盟(NLD)が圧倒的大勝利をしたとのことだ。これは、やはりアジア情勢にとってかなり意味のあることだと思うので取り上げてみたい。

まず、選挙結果を伝えた報道から。

赤文字は引用

ミャンマー補選 NLD大勝、スー・チー氏「新たな時代の始まり」

 NLD5万5902票、与党・連邦団結発展党(USDP)9172票、その他397票-。NLDにはこの日、選挙管理委員会からひそかに、スー・チー氏が出馬したコームー選挙区(ヤンゴン郊外)の暫定集計結果が伝えられた。同氏の得票率は約85%。この数字こそが彼女の人気と、国民の「真の民主化」への期待感を端的に示している。
 
 ミャンマー(旧ビルマ)は19世紀後半から第二次大戦までイギリスの植民地であったが、日本軍が後ろ盾になり、一度独立した。しかし、日本の敗色が濃くなると、スー・チー女史の父親であるアウンサン将軍が日本の指導下にあった政府に対しクーデターを起こし、イギリスに寝返った。だが、イギリスは独立を認めず、再びビルマを植民地とし、戦後、アウンサン将軍は暗殺されてビルマは再び独立し、その後軍事クーデターが起きて現在に至っている。
 
 ミャンマーの対日意識は、独立を支援したと言うことでかなり良いが、一方スー・チー氏に対する国民の熱狂とは別に、彼女の父親が国を裏切ったとの思いが未だにくすぶっているようだ。ただし、日本がビルマを支配していたその状態から独立を目指した英雄との見方もあるが、実際にはイギリスはアウンサン将軍を利用して日本からビルマの支配を奪っただけのことであり、アウンサン将軍が本当にビルマ独立を目指していたかどうかは分からない。
 
 水を差すわけではないが、彼女は旧宗主国に渡りそこでイギリス人と結婚をし教育を受け、それから祖国に戻ってきた人物であり、国民の一部には醒めた目がある。イギリスに渡る前は、ビルマが属していたイギリスのインドで学んでおり、今彼女が本当にミャンマー人の思いを理解しているのかとの批判も内外にある。しかし、彼女が軍政府から再三に渡る弾圧を受けながらもミャンマーにとどまり、次第にミャンマー人の心をつかんでいったことは事実だろう。そのような彼女に、軍政府はうかつに手を出すことが出来なかったわけだ。

 スー・チー氏とNLDの議会への参入を事実上、促したのは、テイン・セイン大統領その人である。そうすれば、「国際社会に民主化を示すことができる」(消息筋)からだ。

ミャンマーは已然軍政国家であり、政治の主体は軍人が握っている。国会議員のほとんどが軍人出身者であり、軍の意向で政治が動いている事実は変わらない。唯、そのためにミャンマーは厳しい国際社会からの批判に曝され、経済制裁などを受けているが、今このままで停滞していると明らかに中国の餌食になる。それでなくとも今中国はミャンマーに対ししきりに工作をしている。日本軍を退けミャンマーを独立させたのは中国軍だと主張し、その記念の碑を建てるべきだと先頃も中国大使がぶち上げたと報道されている。

しかし、全体的にミャンマーの対日感情は良い。ミャンマーの停滞を防ぎ経済発展をするには日本との関係を強化したいとの思いは政府にもある。それも今回のとりあえず民主化への姿勢となって現れたのだろうが、果たしてスー・チー女史が日本との関係を望むかどうかは分からない。あまりに過剰な期待はしない方がよいと思う。彼女が望むのは英連邦の一員ではないかとさえ思えるからだ。

 現在、議会の約85%は軍出身者だ。「大統領らは国際社会の支持獲得と引き換えに、議席の30~40%までは野党に与える心づもりだ」(同)という。その意味で、NLDの一定の議席獲得は「想定内」「許容範囲内」だといえる。
 
 このまま民主化に進むとは思えない。民主化にはそれなりの下地が必要であり、急いで民主化をしようとしている国の全てが失敗していると言えるからだ。民主主義とは単なる政治上のルールなのではなく、価値観、文化であり、一朝一夕に変わることは出来ないからだ。

 南洋工科大学ラジャラトナム国際研究院(シンガポール)のジョウ・サン・ウイ研究員は、「NLDの集計が正確であれば」との前提で「補選の結果は、そのまま15年の総選挙に当てはめられる」と話す。また、スー・チー氏の国政参加により「他の民主政党は衰退し、NLDとUSDPという構図に簡素化されるだろう」と分析する。
 
 これは、スー・チー女史の力がどれほど本物なのか、ミャンマーを理解しているのか、単なる象徴ではない力量を彼女が持っているのかによる。彼女自身は政治家としての経験は全くない。一介の学者であり、そして周囲にいる人々も政治経験は全くない。その人々が政治を動かすには、真の民主主義が国民に根付き、彼女を専門家が支える必要があるが、その体制が出来ているとはとても思えない。
 
 これが、かつてフィリピンなどで起きた政変とは全く違う点であり、実務経験のないNLDは、その点で軍部と協力体制を採らなくてはならないだろう。それが国民に失望を与えれば、今回の選挙結果は失敗につながる。軍部はそこまで見越しているのかも知れない。
 
 しかし、それにしても、ミャンマーは中国とは違う。中国が崩壊を免れないだろうと思うのは、軍部が国を私物化しているからだが、ミャンマーの軍部はそれとは違うのではないかと思えるからだ。紆余曲折はあるだろうが、最終的にミャンマーが民主化する可能性は高い。基本的な国民の資質は現在の中国よりも優れている面があると思える。つまり協調の精神であり、国のために努力が出来ると思えるからだ。
 
 ちょっと話がずれるが、中国について最近のような記事を読み、日本の問題がかいま見えたような気がした。

チャイナ・ドリームが破れる時

 比較文化史家 東京大学名誉教授・平川祐弘

 それが近年、学位を取り損ね中国へ戻った人も、自国の経済発展で大変な自信回復だ。昨今のベストセラーは劉明福『中国夢』(中国友誼出版)で、ポスト・アメリカ時代に中国が世界一をめざし、世界に中国時代を招来させるのがチャイナ・ドリームだという。
 
 確かに、ネットなどを見ると一部の中国人の鼻息は実に荒い。すでに日本を大きく引き離し、アメリカをキャッチアップするのも既定の事実だと言う主張さえ有るが、到底そうは思わないし、彼等には中国という国の在り方が全く見えていないし、そして政府は彼等に国の実態を見せないようにしているのだ。これについて、平川氏も言っているのだが、その前提がかなり問題だ。

 そもそも現役軍人がこんな世界戦略を売り物にしていいのか。中国政権内の開明派が軍部を統制しようにも抑えが利かず、中国の軍事大国化にもはや歯止めは利かないのではないか。何しろ軍幹部が退職後軍事産業に天下りし、共産党幹部の子弟が有力証券会社を牛耳る昨今だ。人治の国では私的な血縁関係が優先で、子弟集団の太子党はわが世の春である。アイゼンハワーは大統領職を去るとき、米国における軍産複合体の肥大化を警戒し遺言としたが、その異常増殖が今の中国であるらしい。
 
 ミャンマーと違い、中国はまさに軍人が己の蓄財と権力構築のために国を恣にしており、これが中国崩壊の最大の原因と言える。中国は紛れもなく軍政国家であり、中国は軍の意向で運営されている。これについては何度も書いているので詳しくは触れないが、解放軍が共産党の下部組織であるとの中国の組織図など信用する根拠にはならない。中国共産党は解放軍の政治部であり、軍の意向に反して国家経営は出来ない。
 
 軍が直接政治を動かしていない、すべて全人代と国務院の決定で中国が運営されているから中国がシビリアンコントロールされているなどは、国際社会の目をごまかし、中国人の目をごまかす嘘でしかない。国家主席も、首相も軍の意向を無視して政策が出来ないとはそう言うことだ。
 
 正確に言うなら、中国は匪賊国家であって、軍政国家ですらない。犯罪集団が住民を人質に取っているだけの存在だからだ。

 「史ヲ以テ鑑(かがみ)ト為(な)ス」とはよくいったものだ。少年のころ日本帝国は歪(いびつ)に発展した。軍部は満蒙は日本の生命線(核心的利益)だとして進出し、南シナ海で新南群島を武力を背に日本領とし、41年に仏印南部にも進駐した。米英中蘭は、America、Britain、China、Dutchの頭文字を取ったABCD包囲網で日本帝国を取り囲んだ。
 
 これが比較歴史の専門家である平川教授の前提なのだ。当時の日本と今の中国は全く状況が違う。今の世界で中国を蹂躙し踏みにじろうとする国が存在するだろうか。今の中国に対して人種差別により発言権を白人国家と同党に認めないとする国際決議が為されたろうか。平川教授はもう相当の高齢のようだが、日本が何故戦争に至ったかの原因は全て日本の野望による物であり、当時の日本に対する包囲網は今の中国に対する包囲網と同じだ、歴史は繰り返すと言っているのだ。

 そんな戦前について「日本こそ被害者だ、包囲した方が悪い」と言い立てる疑似愛国者は日本にもいた。今の北京にもそれと同種の愛国者は多い。しかし人民中国の有力者は口でこそ自国の正義を主張するが、陰では保身を計ってしたたかだ。バブルがはじけ国内外に大混乱が生ずれば、一党支配はもはや正当化もできまい。そんな未来を必至と見て賢明な共産党幹部や富裕層は宝石を買い、子弟を海外に送り、国外に預金、外国に親類を拵(こしら)え、万一に備えている。
 
 日本が被害者、包囲した方が悪いというのは疑似愛国者なのだそうだ。では、私も立派な疑似愛国者なのだが、当時の日本は実際に今とは比べ物にならない欧米の暴虐に、アジアで孤立しながら相対しなければならなかった。他のアジア諸国はタイ以外は全て欧米の植民地だったのだ。先述したように、日本がパリ講和会議において提出した人種的差別撤廃提案を欧米は拒否した。そのような提案が出来たのも日本しかアジアにはいなく、結局アジアのために日本が提出したような物だが、結果として否決された。今の中国が同じような立場だろうか。
 
 当時の日本は資源を本当に封鎖され、欧米にひれ伏すのでなければ、あとは戦って勝ち取る以外に選択肢はなかったはずだが、この平川愛国者教授は、それを口実にするのは疑似愛国者だという。
 
 今の中国は明らかに周辺国に対して軍事的脅威を与え資源を盗み領土は自国の国内法を国際法に優先させている。が、それでも資源を封鎖されているわけではない。かつての日本に対する資源封鎖と同じだろうか。
 
 このような平川氏のような人物は、自分では日本を貶めているとは夢にも思わないだろうし、自虐史を刷り込まれているとの自覚はないだろう。日本のかつての行為を擁護するのは疑似愛国者だと言うのだから、自分は愛国者と自認しているのだろうが、結果として、強烈な反日思考をばらまいているのではないのか。ある意味、反日左翼はわかりやすい。が、このような錯覚愛国者ほど始末に負えない物はない。自分では日本が過ちを犯したことを次世代に伝えることが正しい日本人の在り方だと信じているのだ。
 
 例の河野談話の当事者、河野洋平氏は、「従軍慰安所が存在し、従軍慰安婦もいた、そして彼女たちは管理されていた」だからあのような談話を出した、のように言っている。慰安所も慰安婦も実在したのは事実だが、それは世界中に有ったし、当時は当然の存在であり、そこの慰安婦が管理されていたのも当然だろう。管理が性奴隷としての管理なのか、たとえば兵士が軍によって管理される類なのかの区別を河野氏は付けられないであのような談話を出した。当時は国民も管理されていたのだ。
 
 河野氏が格別国家毀損をもくろむ左翼と見られることはないだろうが、それでも自分で物を考えず、単に高給に自らの意思で応募してきた慰安婦が性奴隷として管理されていたのと何の疑いも持たずに信じ込む、それをすり込みという。
 
 平川氏や河野氏は特別な存在ではない。左翼を非難しながら同じようなことをする人間は大勢居る。戦争はすべきではない、戦争は悪いことだと言うのは当然だ。私もそう言う。が、戦争をしないことはもっと悪いこともあるのだとの理解は彼等には通らない。戦争が悪い、というところで思考が停まっているのだ。平川氏も河野氏も、戦争は悪い、日本は戦争をした、だから日本が悪いとの思考以上何も思い浮かんでいない。
 
 今瓦礫を拒否する連中は、自分が無知から多くの人間に膨大な被害を与えている自覚がない。自分の無知から国の経済を疲弊させ、国家の安全保障を大きく危険にさらしている自覚がない。自分には責任など有るはずがないと思っている。だから、民主党政権が出鱈目だと、自分は責任がないと思っている。
 
 話がずれるが、いつもこの点が腹立たしいのだ。一般のお花畑ではなく、比較文化史の権威とされる人物や、ベテランの政治家がお花畑なのだ。
 
さて、アジアの春。ミャンマーの場合、明らかにシリアやリビア、エジプトの崩壊を目の当たりにし、だからこそ、見かけだけでもスー・チー女史との融和を図っていると思うが、それでも中国よりはましだ。そのような選択を取れるだけ、彼等は柔軟性があるし、そして彼等が権力を野党に仮に譲っても、彼等と妥協しながら自分たちの存在位置を保てるとの目算があるのだろう。中国にはそれが全くない。

次の記事は、米国の政策だが、これは世界にとっても重大なことなのだ。

米外交が抱える6つの試練、トップは軍拡著しい中国―米紙

1、中国―目覚ましい経済発展により、米国の「世界のリーダー」の座が危うくなっている。海軍の巡回水域も拡大を続けており、米国の制海権まで脅かされそうな勢い。

中国は、いかにどのように言いつくろうと世界にとって明確に軍事的脅威なのであり、自分たちのルールを他に押しつけるために力を使うことをためらわない。将来、アメリカがかりに衰退すれば、他国が協力して中国を抑えるしかない。しかし、そうなる前に、世界の先進国がアメリカを支えるだろう。アメリカに様々な問題があろうとも、当分はアメリカがスーパーパワーであり続けるのはそのためだ。中国に本当に信頼の出来る友邦があるだろうか。将来、出来る可能性があるだろうか。そう考えれば、中国が世界の覇権を握ることはない。万が一そんな兆候が有れば世界は一致して中国を抑えるだろう。

2、ロシア―対米強硬派のプーチン氏が大統領に当選。今後4年間はシリア情勢やイランの核問題で、協力を求めていくことになるだろう。

ロシアにとってもイスラム勢力は脅威であり、これは協力するだろうが、ただし、シリア制裁案をロシアが中国と共に拒否したように、イスラム圏は脅威でも独裁国はロシアにとって数少ない手駒なので、アメリカがその辺りを理解しない限り、ロシアとの協力も当てはずれになるのでないのか。ロシアは中国のことも信用はしていないが、対アメリカとなれば中国のと協調を選ぶ可能性もある。ロシアが常に裏切る可能性を想定しての協力関係しか得られない。

3、アラブ世界―この地域を激震させた政変の数々を米国は理解できるだろうか。次期大統領はこの地域に言論の自由、自由選挙、司法権の独立を呼び掛けていくべきだ。

これは絶対に無理。下手な押しつけは益々彼等の敵意を買うだけであり、人権や民主化、特に司法権の独立など、イスラム原理主義者にとっては神に対する冒涜以外の何者でもない。アメリカは、彼等の価値観とルールを認めるしかない。

4、イラン―今後4年間、誰が大統領になっても米国にとっての「時限爆弾」であることは間違いない。イランに対する非軍事圧力を強化し、核開発を阻止していくしかないだろう。

上記に同じであり、イランに核の保有を禁ずる権利など、アメリカにはない。要するにアメリカに対する核の使用がなければよいのであり、そうさせないようにイランとの妥協を図る方がよほど安全性が高まるはずだ。つまりイランに核を持たせ、そのかわりアメリカとの妥協を呼びかける方がよほど可能性が高い。今イランに核保有を強制的に止めさせようとしてもイランは全てを奪われると思うだけのことだろう。話し合いなど成立するはずがない。アメリカの今までのやり方が、イラン国内の改革派を窮地に陥れた反省が全くアメリカにはないが、そもそもアメリカは他文化を理解し、価値観を理解するなどの気は全くない。したがって、イラン情勢はますます悪化するしかない。

5、北朝鮮―新指導者・金正恩(キム・ジョンウン)氏がうそ偽りなく誠実に好戦的な考え方を捨て、米国の食糧支援を得るつもりがあるかどうか、次の大統領は良く見極める必要がある。

朝鮮にはむろん、食料をアメリカに貢がせる気はあるだろうが、うそ偽りなく誠実に好戦的な考え方を捨てるなどあり得ない。朝鮮人に誠実な対応を求めるなど、神様にも無理だと思うが。

6、パキスタン―国際社会の経済援助が必要なパキスタンに対し、米国はいつでも巨額の援助をする準備がある。ただし、テロ対策への協力が不可欠だ。(翻訳・編集/NN)

なぜパキスタンでビンラディンが何年もかくまわれていたのか。パキスタンは部族集合社会であり、今の政府はパキスタンのごく一部を把握し、あとは部族との妥協で成り立っているだけの原始社会だ。放って置くしかない。このような国は世界中にあり、アメリカの民主主義など塵紙ほどの価値もないが、それを絶対と思いこんでいるアメリカの額主力のなさが問題を大きくしている。この点、中国の方が数段やり方が上手い。人権など糞食らえでやれば上手く行く。


上記に引用されているURLの記事を読む場合は下記の「続きを読む」をクリックしてください。但し、内容確認以外なら、敢えて読む必要はありません
以下は参照用の資料ですので、確認をされる以外はあえて読む必要はありません。


ミャンマー補選 NLD大勝、スー・チー氏「新たな時代の始まり」

2012.4.2 20:22

【ヤンゴン=青木伸行】ミャンマーの連邦議会補欠選挙(1日投開票)は、野党・国民民主連盟(NLD)の党首、アウン・サン・スー・チー氏の当選が確定し、同党の独自集計では全44候補が勝利した。国民は投票により、絶大な人気を博すスー・チー氏への強い期待と、政権、軍に対する根強い不信を表明したといえる。同氏は2日、「新たな時代の始まりだ」と宣言した。

 最大都市ヤンゴン市内のNLD本部前。午前10時50分、スー・チー氏が到着すると、待ちわびた大勢の市民が「母なるスー・チー」の大合唱で出迎えた。目の前の道路を通り過ぎるバスや車からも、人々が笑顔で手を振っていた。スー・チー氏がマイクを握った。

 「NLDの大勝利ではなく、この国の政治プロセスに関わった人々(国民の)勝利だ。NLDが何議席を取ったか、ということは問題ではない。選挙に参加した全政党が協力し、この国に真の民主主義を創造することを望む」

 スー・チー氏の姿は、本部の外壁に取り付けられたスクリーンに映し出され、言葉が辺りに響き渡った。道路を挟んだ本部の向かい側で聞き入っていた男性(44)は、「この国の指導者は彼女以外にはおらず、勝利が人々の夢だった」と、顔をほころばせた。

 NLD5万5902票、与党・連邦団結発展党(USDP)9172票、その他397票-。NLDにはこの日、選挙管理委員会からひそかに、スー・チー氏が出馬したコームー選挙区(ヤンゴン郊外)の暫定集計結果が伝えられた。同氏の得票率は約85%。この数字こそが彼女の人気と、国民の「真の民主化」への期待感を端的に示している。

 スー・チー氏とNLDの議会への参入を事実上、促したのは、テイン・セイン大統領その人である。そうすれば、「国際社会に民主化を示すことができる」(消息筋)からだ。

 そもそもミャンマーがなぜ、民主化にかじを切ったのか、その答えの一つが「軍事政権のままでは国がもたず、いずれ国民が爆発する」という、「アラブの春」にも似た危機感だといわれている。

 現在、議会の約85%は軍出身者だ。「大統領らは国際社会の支持獲得と引き換えに、議席の30~40%までは野党に与える心づもりだ」(同)という。その意味で、NLDの一定の議席獲得は「想定内」「許容範囲内」だといえる。

 だが、独自集計通りにNLDが44議席を占め、とりわけ政府関係者や軍人が多い首都ネピドーの複数の選挙区も押さえたとすれば、政権とUSDPは「スー・チー旋風」の強さを、危機感をもって肌身で感じたに違いない。その勢いが、2015年の総選挙に持ち込まれることは、間違いないからだ。

 南洋工科大学ラジャラトナム国際研究院(シンガポール)のジョウ・サン・ウイ研究員は、「NLDの集計が正確であれば」との前提で「補選の結果は、そのまま15年の総選挙に当てはめられる」と話す。また、スー・チー氏の国政参加により「他の民主政党は衰退し、NLDとUSDPという構図に簡素化されるだろう」と分析する。

 スー・チー氏は3月30日の記者会見で、目指す民主主義像について「欧米型か、アジア型かというのではなく、国民のための民主主義だ」と述べた。「この国には乾期、涼しい時期、暑い時期、雨期があるが春はない。だが、人々が(政治の春を)満喫できるときが来ることを望んでいる」とも語った。そうした「新たな時代」へ向け、スー・チー氏は新しい一歩を踏み出した。
 
チャイナ・ドリームが破れる時

 比較文化史家 東京大学名誉教授・平川祐弘

2012.4.4 03:25[正論]

 米日中の栄枯盛衰について考えたい。敗戦後10年、日本は依然として貧しく、「せめて戦前並みになればいいな」とパリで朝飯抜きの留学生は思っていた。祖国が普請中であることにずっと劣等感を覚えていたのである。ただし、アジアで日本だけが産業化していることは各地の港に寄って渡欧したのでよくわかり、独立を守ってくれた明治の先人の努力に私は感謝した。さらに10年後、大学助手となったとき、北米で就職した級友が「お前の月給はいくらだ」と尋ねた。1ドル360円の頃で「100ドル」と言うと、「俺はその10倍だ」と言った。絶対的な隔絶が洋の東西の間にはあると思った。

 ≪米日中の栄枯盛衰の行方は≫

 だが日本再建は進み、1977年、東大助教授の給料がオックスフォードのドンに追いついた。日出づる国の勢いは止まらない。92年定年時の私は、かつての給料10倍の北米残留組より高額所得者になっていた。米国が敗戦国のようで米国人が苛立(いらだ)ったのも無理はない。がバブルがはじけ、以後日本は振るわず精神も空洞化した。

 では、日中関係も逆転するか。中国へ教えに行った天安門事件の直後、北京から1時間走ると田舎道に籾(もみ)が撒(ま)いてあり、通過する車に脱穀させていた。そんな原始的な農村だから中国学生は日本に追いつけないと思っていた。来日した人は次々と日本で就職した。

 それが近年、学位を取り損ね中国へ戻った人も、自国の経済発展で大変な自信回復だ。昨今のベストセラーは劉明福『中国夢』(中国友誼出版)で、ポスト・アメリカ時代に中国が世界一をめざし、世界に中国時代を招来させるのがチャイナ・ドリームだという。

 ≪「日米もし戦はば」の中国版≫

 著者は国防大学軍隊建設研究所所長の大佐だ。中国人がアヘン戦争以来の列強の侵略に反発し国防建設を夢見るのは理解できる。夢もほどほどなら結構だ。だが人民中国誕生から63年、近隣諸国からの軍事的脅威はない。それなのに軍事大国を目指すとは何ごとか。『中国夢』は中米大戦争を露骨に想定はしないが、それでも昭和初年に売れた平田晋策『日米もし戦はば』の中国版の趣(おもむ)きがある。

 そもそも現役軍人がこんな世界戦略を売り物にしていいのか。中国政権内の開明派が軍部を統制しようにも抑えが利かず、中国の軍事大国化にもはや歯止めは利かないのではないか。何しろ軍幹部が退職後軍事産業に天下りし、共産党幹部の子弟が有力証券会社を牛耳る昨今だ。人治の国では私的な血縁関係が優先で、子弟集団の太子党はわが世の春である。アイゼンハワーは大統領職を去るとき、米国における軍産複合体の肥大化を警戒し遺言としたが、その異常増殖が今の中国であるらしい。

大中華秩序復活の夢を劉明福は「黄福論」と称する。公正な選挙一つ行えない強権支配の国でありながら、「歴史清白、道徳高尚」中国は世界大国中唯一の「没有原罪的国家」であるから天下に王道を広める資格があると主張している。米国から見ればこのジョークは新しい「黄禍論」と映ずるだろう。何が無原罪なものか。毛沢東と共産党によって殺された人数は2600万と『建国以来歴次政治運動史実報告』にも出ている。

 その中国が領海法を一方的に制定し、南シナ海の島嶼(とうしょ)、東シナ海の尖閣諸島は「核心的利益」だと言い出した。ベトナム、フィリピン、インドネシアをはじめ日韓印も反発する。「今の中国に友邦はあるか」と問うてみるがいい。ミャンマーももはや友邦ではない。彼らは答えに窮するが、北朝鮮の名はさすがに言いかねている。だがそれで黙りはすまい。「米豪日が連携してアジア中小国とともに対中包囲網を敷くとは何ごとか」と居直って、怒るに相違ない。

 ≪日本に亡命して中華料理屋に?≫

 「史ヲ以テ鑑(かがみ)ト為(な)ス」とはよくいったものだ。少年のころ日本帝国は歪(いびつ)に発展した。軍部は満蒙は日本の生命線(核心的利益)だとして進出し、南シナ海で新南群島を武力を背に日本領とし、41年に仏印南部にも進駐した。米英中蘭は、America、Britain、China、Dutchの頭文字を取ったABCD包囲網で日本帝国を取り囲んだ。

 そんな戦前について「日本こそ被害者だ、包囲した方が悪い」と言い立てる疑似愛国者は日本にもいた。今の北京にもそれと同種の愛国者は多い。しかし人民中国の有力者は口でこそ自国の正義を主張するが、陰では保身を計ってしたたかだ。バブルがはじけ国内外に大混乱が生ずれば、一党支配はもはや正当化もできまい。そんな未来を必至と見て賢明な共産党幹部や富裕層は宝石を買い、子弟を海外に送り、国外に預金、外国に親類を拵(こしら)え、万一に備えている。

 軍の近代化だけが進み政治の近代化の進まぬ歪な大中華帝国の夢が実現しても大変だが、夢が破れても大変だ。「その時どうする」と聞いたら「日本に亡命して中華料理屋を開く」と真顔で答えた。その昔西ドイツが中共政権を認めたときの、台湾元外交官がボンで中華飯屋を開くという噂話が思い出された。



米外交が抱える6つの試練、トップは軍拡著しい中国―米紙

配信日時:2012年4月3日 8時47分

2012年3月31日、米紙クリスチャン・サイエンス・モニターは、米国が抱える外交上の6つの試練について報じた。1日付で環球網が伝えた。

記事は、次期大統領が現職のオバマ大統領でも、共和党のロムニー前マサチューセッツ州知事でも、中国、ロシア、アラブ世界、イラン、北朝鮮、パキスタンの6カ国・地域が米国にとって外交上の試練になっていると指摘する。

1、中国―目覚ましい経済発展により、米国の「世界のリーダー」の座が危うくなっている。海軍の巡回水域も拡大を続けており、米国の制海権まで脅かされそうな勢い。

2、ロシア―対米強硬派のプーチン氏が大統領に当選。今後4年間はシリア情勢やイランの核問題で、協力を求めていくことになるだろう。

3、アラブ世界―この地域を激震させた政変の数々を米国は理解できるだろうか。次期大統領はこの地域に言論の自由、自由選挙、司法権の独立を呼び掛けていくべきだ。

4、イラン―今後4年間、誰が大統領になっても米国にとっての「時限爆弾」であることは間違いない。イランに対する非軍事圧力を強化し、核開発を阻止していくしかないだろう。

5、北朝鮮―新指導者・金正恩(キム・ジョンウン)氏がうそ偽りなく誠実に好戦的な考え方を捨て、米国の食糧支援を得るつもりがあるかどうか、次の大統領は良く見極める必要がある。

6、パキスタン―国際社会の経済援助が必要なパキスタンに対し、米国はいつでも巨額の援助をする準備がある。ただし、テロ対策への協力が不可欠だ。(翻訳・編集/NN)
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