独裁者の末路


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10日ほど前、リビアのカダフィ大佐が死んだ。死因は未だ解明されていないが、大方捕まった後、民兵に射殺されたとの報道がおそらく正しいのだろう。その後も、遺体は、彼らの最大の侮辱の方法である靴で打たれ続けたと言うし、リビア国民の大半がこれでリビアは開放されたと大喜びをしたというのだから、カダフィ大佐が日頃からいかに憎悪されていたかが分かる。

ことの始まりは北アフリカ一帯で始まった各国の反政府デモだが、まずチュニジアでジャスミン革命が成功し、エジプトが無血革命に成功した流れのなか、リビアは最後までカダフィ大佐が政権を手放そうとしなかったため、最終的には大規模な暴力革命に至ったものだ。

もともと、この一帯はイスラム圏であり、大半が独裁国家に分類されるのだろうが、今まではそれほど問題にはされていなかった。国内の状況がそれほど悲惨だとは海外では思われていなかったのと、国により生体が異なるのは当たり前であって、国際的な注目を浴びるような大規模な暴力支配体制でもない限り、外部から体制を倒すことは滅多にはない。例外と言えばイラクやアフガニスタンだろうが、アメリカとの関係が引き金になっているので同じとは言えないだろう。

一帯の反政府デモは未だに収まらず、周辺国では未だに拡大中で、おそらく後いくつかの国々が政権交代になるのではないだろうか。なにより、カダフィ大佐の悲惨な最期が、周辺国家の独裁者達を震え上がらせているという。

赤文字は引用

「次は誰だ」震撼する独裁者

 20日死亡したリビアの元最高指導者、ムアマル・カダフィ大佐(69)は、反カダフィ派「国民評議会」の民兵に生きたまま拘束された後に銃殺された可能性が高いことが分かった。中東各地に広がった民主化運動「アラブの春」で初めての指導者死亡。しかも「民衆による処刑」となったことで、シリアやイエメンなどの独裁者は背筋を凍らせているに違いない。
 
 独裁者と言えば、私たちの印象にある彼らの末期は、ルーマニアのチャウシェスク大統領夫妻の公開銃殺や、イラクのフセイン大統領の処刑などが記憶に焼き付いているが、過去にもムッソリーニがリンチに会い逆さ吊りにされて処刑されたとか、ヒトラーが自殺に追い込まれたなど、民衆の怒りを買って惨めな最後を遂げた例がある。が、歴史上は天寿を全うした独裁者の方が断然多い。
 
 数百万人の粛正を行ったスターリンは長らく死後も崇拝されていたし、スターリンが公に批判されたのは、プーチンによって最近のことだが、そのプーチンは明らかに独裁者への道を目指している。
 
 数千万人を殺した毛沢東は未だに礼拝の対象になっている。この国で人命が羽毛のように軽いのはこのような人物がこのような扱いを受けていることが価値観をゆがめており例の2歳の女の子ひき逃げ黙殺事件が起きるのだ。そうしなければ彼の後継者である中共が存続できないのだ。
 
 北朝鮮の金正日が天寿を全うするかどうかは分からないが、おそらくするだろう。徹底的に国民を恐怖で押さえつけ情報を管理すればそれが可能だという一つの見本であり、他国で独裁者が追放されるきっかけは、情報の自由化と外部からの干渉だ。
 
 が、北朝鮮は外部からの干渉を核の保有と中国の庇護の二つの手段で崩壊を切り抜けている。そもそも、独裁国家中国が崩壊しないのは、絶対的に巨大となった軍事力のためであり、こうなると情報が自由になったとしても圧倒的な政府の暴力支配に国民は反抗できないし、外部からの干渉もない。
 
 あとは、内部からの崩壊しかないが、中国の崩壊はそれに因るだろうし、そうなると北朝鮮も連鎖崩壊するだろうと思われる。
 
 ところで、なぜこのような独裁国家があるのかと言えば、言うまでもなく効率がよいからだ。有史以前の人間の集団は、血縁関係で集まった数十名の規模だったから年輩者による合議制だった。そのくらいの集団であれば誰もが年輩者の合議で決まったルールに逆らうことはないだろうし、せいぜい年輩者の中でも特に経験を積んだ尊敬を集める人間の決定が全てで、別にそれで問題はなかった。
 
 しかし、次第にそれぞれの集団が利害でぶつかり争うようになったり、或いは協力をし会うようになると結果としてそれは血縁以外の利害で結びつくもっと大きな数百人、数千人の規模になる。となれば、集団内でもグループ分けが出来るしそれぞれの利害の対立から年輩者の合議では間に合わなくなり、結局それぞれのグループからの代表者が集まっての合議制などもその過程で出来るだろうが、ごく自然に一部の人間に決定権が集中するようになる。決定権が集中する理由は、人脈を多く持っている者達、私有財産のおおきい物、なにより腕っ節が強くて有無を言わさず相手を従えるものなどが決定権を持つようになるのが当然の流れだ。
 
 都市国家が形成されるかなり前からそのような一部の人間が集団のルールを決定するようになっており、部族長制が出来たりそれが発展して王政になり、ますます権力が一部の人間に集中するようになる。人類の歴史の大半はその形態であり、今でも世界の一部ではこの形態のままの国々は結構ある。
 
 その変形が中共やロシアが回帰しようとしている独裁国家であり、結局は権力の私物化されたものが独裁だと言って良いのだろう。
 
 独裁は国民が自由であってはならず、国民が政府の決定に不満を持ってはならず、当然ながらそれらの不満や自由に対する要求が強まれば、それを押さえつける力も大きくしなければならない。その力が限界に来ると、チェニジア、エジプト、リビアのようなことになる。
 
 しかし、それらの国々が、イランやアフガニスタンなども含め、国民の望む民主国家になるかと言えばそうはならない。独裁国家の問題は何も独裁者の側にだけ有るのではなく、国民の側にもより多くあるからだ。民主主義が自分の要求を通す体制だと思いこんでいる国民は遅かれ早かれ分裂し新たな紛争を起こし混乱し、次の独裁者を生むことになる。
 
 何度もそのようなことを経験しながら、次第に民主主義とは互いの利害をすりあわせ妥協しなければ得られない、自分の要求の多くを放棄しなければ得られないものだと国民全体が理解するにはさらに長い時間がかかる。国家の利害を中立した目で見られるようになるには、民度の熟成、教育レベルの上昇が不可欠だ。それが成し遂げられて国の民主化が出来るのであり、ロシアが明らかに独裁国家に戻りつつあるのは、ロシア人が民主主義を理解していないからだ。もっとも、日本にも民主主義を理解できない左翼と称する連中もいるから、珍しいことではないのだが。
 
 西欧でも民主化には長い時間がかかり、未だに東欧などでは上手く機能していないし、中央アジアなどには新たな独裁国家が生まれている。独裁でなければまとめられない国はなお多くあり、そうすれば独裁者は権力を私物化する。
 
 西欧諸国が独裁国家に干渉せず、独裁者を糾弾しないのはそのためだ。国民に能力がなければ、独裁国家が民主国家になりはしない。ただ、人道的な抑圧があまりに激しければ懸念の表明や、独裁者に対する警告は与えるが、それ以上はしない。
 
 チェニジアは政府が倒れるまでは全く独裁国家としては一般には認識されておらず、イスラム世界でも先進的な世俗国家と認識され、加工貿易で経済を成り立たせる工業国家の一員だ。
 
 エジプトはいち早くイスラエルとの和解を成し遂げたやはりイスラム圏では先進的な民主国家と見られていた。リビアも、かつての反米から、核放棄を経て親米国家になりつつあったはずだ。結局、外から見ては分からないと言うことだろう。
 
 日本はどうなのか。
 
 独裁や民主主義の定義が時代によって変わるので今の規準では何とも言えないだろうが、少なくとも日本は数百年以上ただの独裁ではなかった。むろん、最高権力者の決定が絶対だったとしても、その決定を合議制で行っていたのは、スターリンや毛沢東などよりよほど民主的だったと言えるだろう。
 
 開国をしていち早く帝国議会を設け、一般選挙で議員を選ぶ民主国家形態を採っていたし、それを理解する能力が国民にあった。ブッシュ元大統領が、日本は終戦後民主国家になったなどと無知なことを言って笑われるのはアメリカが民主主義を理解していないためだろう。アメリカによる独裁が世界のためだと考えている内は救いようがない。
 
 最後に、ついでと言えばついでだが、大王製紙と言えば国内でも三位の製紙会社であり、しかも歴史は比較的新しい。創立されたのが、四国の伊予三島市(今の中央市)で戦後すぐだと言うし、今問題になっている前会長は創立者の孫だという。業界三位の大手でありながら、創業した井川家の支配が絶対であり、その結果が今回の仕儀に至ったわけだが、考えてみれば同族企業で井川家の意思が絶対であったからこそ、急速な成長が出来たのだろう。日本の企業で問題とされるのは意思決定の遅さであり、未だに創業家の影響が強い韓国の大企業に負けるのはそれが原因だとされているが、創業家の支配が強ければ、一旦ぼんくらがトップについた場合、あっという間に没落する可能性がある。それ以上に、独裁的な決定に誰もが逆らえなくなれば、その決定以上の成長が出来ない。
 
 独裁国家が絶対に独裁のまま先進国になれないのは歴史が証明しているが、かといってそれが出来ない国が非常に多いことも理解しておかなければならない。異論はあるだろうが、日本は世界でも最も早く民主化した国の一つであり、そして隣は未だに民主化できない国ばかりなのだ。それを十分に理解し、いずれ訪れる崩壊に備えなければならないと言うことだ。

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