米中関係の深化に変化なし?

平成22年02月23日

下記は、THE JOURNALの若林秀樹氏による米中関係の深化に変化なしという記事に対しコメントした物だ。

元記事については上記URLを参照していただきたい。

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基本的には若林氏の指摘は正しいと思う。

>米中間の軋轢を懸念する声が高まっているが、心配は無用である。確かに、その関係の冷え込みを感じさせる事象が続き、これまでにない変化が両国に見られるが、結論として米中関係の深化という大きな流れは一向に変わらないであろう。

ただし、両国が今正面からぶつかり合うことの負担を考えてそうならないだけであり、アメリカは国内の経済不振、アフガニスタン、イラク、イラン、テロ対策など方々に手を出しすぎ、いま中国と事を構えることは出来ないだろうし、中国も後述するような理由でアメリカと本当に対立、衝突をするわけには行かない。両国の対立を避ける理由はそれぞれ違うが、結果として両国の思いは同じだから、軋轢が無制限に高まることはないと考えられる。

>しかし両国共に引き際や越えてはならない一線はわかっており、「冷え込んだ関係」はやがて収束に向かうものと思われる。ただ一点だけ気になるとすれば、中国の国内世論、特に排他的になりがちなネット世論の動向である。経済発展で自信をつけつつある国民の民族意識に火がつき、胡錦濤政権がその勢いを収拾できず、その動向によって国内政治が影響されるかもしれない。歴史を遡れば、政権は偏狭な国家意識に火がついた国民に引きずられ、戦争を起こした例は少なくないのである。

ただ、中国に於いては、例え米国に妥協したくとも、中国がアメリカに匹敵する大国になったかのような宣伝を繰り返してきた結果、それしか知らされていない中華思想に凝り固まった中国国民の手前、弱腰の姿勢は見せられない。

若林氏も言っているが、かつて政府が国民を洗脳し、その国民が盲目的に政府をたきつけ引っ込みがつかなくなり戦争になるケースは世界中で繰り返されている。また、アメリカなどは、国内をまとめるために、政権の人気が落ちると戦争をしてきた国だが、そのために危機感をあおり国民を扇動して戦争気運を盛り上げ開戦する方法を常に採ってきた。

中国は言わずもがなだ。政府が外国に弱腰の姿勢を見せ国民の怒りを買い押さえきれなくなれば政府は崩壊し、民主国家と違い指導層は蓄えた財産を失い、それどころか生命さえ危険にさらされる。ただでさえ、国内での腐敗、格差を抑えるのに手一杯なのだ。とうてい、国民の怒りをこれ以上買う、アメリカや日本に妥協の姿勢は見せられない。

中国の指導層としてもアメリカと戦争をすれば到底勝ち目がないこと、あるいは失う物が大きすぎる事は知っている。しかし、中国の経済発展に天にも昇る気でいる国民はそんなことは知らない。アメリカが理不尽なら懲らしめてやるべきだと政府をたきつける事もあり得る。政府も、それを押さえきれずに、ほんの少しの小競り合いで収まれば良いだろうと戦争を始めるが、泥沼にはまりこみそして、誰も望まない全面戦争になる。むろん、これは非常に小さい可能性だが、若林氏も指摘するように、世界中で繰り返されてきた悲劇であり、米中間で絶対に無いと断言は出来ない。

それに、中国人の多く、それから日本や世界の一部の人間が言うような中国がアメリカと世界を二分して支配する能力など、全くない。精々、アメリカが中国を口実に、つまり傀儡にして単独世界支配をたくらみ、そこに中国の意志もあるかのように中国の自尊心を満足させ実利を取る可能性ならあるかも知れない。ただ民主党ならまんまとだまされるだろうが。

アメリカにしてみれば、これが世界の敵意をアメリカのみならず中国に向けさせながら思い通りに世界を牛耳る一番の得策だと思えるし、今のアメリカを観ているといかにもという気がする。なにしろ、アメリカは世界中から嫌われすぎ、クリントン女史も愛されるアメリカを約束しなければならないくらいなのだから。

>米中間の大きな流れを見極めず、この機に乗じて、日本が中国に擦り寄るような態度を取れば、米国のみならず、中国にも馬鹿にされるだけである。

これも、民主政権の無知、無神経を考えれば単なる杞憂では終わらない。現実にアメリカは日本に失望し、まともに相手が出来ないことはすでにオバマ氏はじめアメリカ政府の態度を観れば分かるし、微笑を絶やさないながら毒餃子、ガス田開発、尖閣諸島など一切日本に歩み寄る姿勢を見せなくなった中国も明確に日本をまともに相手にしていない。

両国とも、日本は大声で脅せば引っ込むことを知っているし、その感をますます強めただけのことだ。民主は異なる顔を両国に見せ、そして同じ態度を両国に取らせることになった。

>本来は日本の毅然とした外交姿勢と共に、ダライ・ラマ氏と会談しても悪化しないような日中関係の構築が望まれる。

むろん、民主にはそのような能力はない。そのような政策を扱える能力など欠片もない。
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米中2G時代は来ない

平成22年02月21日

下記は、「中国のGDPが日本を抜く」という記事を修正して、The JOURNAK のよろんず欄へ投稿したもの
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今年中にも中国のGDPが日本を抜くと言われているし、2030年にはアメリカを抜いて世界一になるとも言われている。年率9%の成長を続ければ当然そうなるだろう。また、事実古代に於いては、ピーク時中国は世界の富の70%を占めていたとも言われている。いずれにせよ、中国が世界経済で落ちこぼれていたのは、人類数千年の歴史で高々二百年ほどに過ぎず、殆どの期間を世界一の経済大国として君臨していたのは間違いがない。
 
 だから、これからの中国は本来の姿に戻るのだ、と言うわけだ。
 
 しかし、これはきわめて疑わしい、と言うよりあり得ない。もしかしたら一時的に日本を上回るかも知れないが、そのままアメリカをも抜き去るとは考えにくい。もっとも、アメリカの経済力が相対的に落ちてくるとすれば米中の差が縮まるとは言えるかも知れないがそれが恒久的に続くには根拠がなさ過ぎる。
 
1)古代よりこの近代の多少の期間を除いて中国は世界でも最も進んだ文明国家であり、匹敵すると言えばエジプト、インド、メソポタミアくらいしかなかったが、いずれも中国の国土、人口に匹敵する物ではなかったし、また栄枯盛衰もあり比較的継続していた中国ほどの富を蓄えることが出来なかったと考えられる。

しかし、現在は中国に匹敵する、あるいはそれ以上の文化力、政治力を備えた国家はたくさんあり、かつて中国が最大の文明国家であった時代とは状況が大きく異なり、昔と同じように中国のみが抜きんでることはあり得ない。

2)古代に於いては軍事力や農業生産力などが国力を決めたのだろうが、現代では先進国としての絶対条件、つまり自由経済、それを成り立たせる民主主義が絶対的に中国には欠けている。したがって、中国が成長して来るに従い、それに抵抗する力が内外から比例して大きくなるため、中国はそれらと戦わなければならず、それが成長を阻害する。

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急回復の中国に、欧米で広がるバッシングの兆し


  2009年の国内総生産(GDP)の伸び幅が8.7%に達し、世界的な不況の中で一早く回復を見せている中国。一方、米国では失業率の悪化が深刻となっており、輸出の成長が著しい中国に対するバッシングが広がるのではとの見方が強まっている。米国のニュース雑誌「New Statesman」が伝えている。

  中国では12月の輸出が前年比で20%近く増加したのに対し、EUではいまだに不況の影響から抜け出せず、約20%減少という数字が出ている。この対照的な数字だけでも中国バッシングの拡大には十分な要因であり、また中国の安い商品の輸入が米国の失業率を悪化させているという感情の高まりが、新たなバッシングを引き起こすのではないかと、記事では指摘している。

  また、米国の失業率は10%に達しており、国内の不満は膨らむばかり。政府は貿易摩擦は避けたい考えだが、国内の社会的不安を減らすことが優先課題であり、ワシントンが貿易不均衡を是正するため人民元の切り上げを迫ったり、懲罰関税を課すなどの対抗措置に乗り出すのは時間の問題だと見られる。

  しかし記事では、米国が動き出したとしても、中国はすぐに反応せず、ゆっくりとしたペースで人民元の切り上げを進めていくだけではないかとの見方を示している。(編集担当:松井望・山口幸治)

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中国内部に於いては、その状態を改革する機能が存在しないため、いずれ中国は袋小路に追いつめられる。

3)国力の大きな部分は文化力、技術力の充実だが、中国のそれらは世界の最低レベルと言っていい。これについては私のブログにたびたび書いているのでここでは繰り返さないが基本的な民度、技術の軽視、拝金主義、人治主義、政治の腐敗、情報統制などが国家の成長を抑える。

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国産車が販売不振、海外メーカーと比べ「技術不足」―中国モバイル版

2008年10月31日、中国自動車報は国産車が深刻な販売不振に陥っていることを報じた。

07年まで5年連続の2ケタ成長を記録した中国では個人消費が活発化、乗用車販売台数も大幅に伸び、07年は879万台の売り上げを記録、03年から倍増した。しかし政府と国民の期待を一身に受けている国産車は不振にあえいでいる。07年の販売台数は124万台と前年から25万台以上増加させたものの、マーケットシェアは大きく低下した。

国産車は低排気量の小型車を主戦場としているが、市民の収入水準の上昇により、メインの市場はより大型の車へとシフトしている。排気量1000cc以下の販売台数は前年比で31%も減少した。一方で大型車も決して好調なわけではない。国産ハイクラス車の代名詞ともいえる「紅旗HQ3」は不振のため16万7000元(約250万円)という空前の値引きを実施した。

中国国産車不振の理由を問えば、技術力不足に尽きるだろう。急成長する中国市場でのポジションを得ようと世界各国の自動車メーカーは現地に合資企業を設立、生き馬の目を抜く激戦区となっている。こうしたなか、国産メーカーの技術革新は明らかに一歩遅れたもの。9・10月の自動車販売台数が前年を割り込むなど景気低迷が現実化しつつあるだけに、国産メーカーはこれまで以上に厳しい状況に置かれている。中国自動車報は、国産メーカーは技術革新のスピードを上げ、海外企業に負けない競争力を得ることしか生き残りの道はないと激励している。(翻訳・編集/KT)

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4)そもそも、中国の公表している経済発展の数字がきわめて疑わしいことは周知の事実であり、地方は成績を上げるために水増しをした数字を中央に上げるため、それらの数字を単純に足すと成長率が年率20%を越してしまうので、適当に調整して発表しているとされている。増大し続ける失業率、資源の消費量の伸びの少なさも、中国公表のGDP伸び率を説明出来ない。

5)嘘で塗り固められた中国が、唯肥大化するだけでは自重で崩壊するとの見方が大きい。

もし、中国が国際社会と協調し、節度ある大国となるのであればむろんそれは世界にとっても有益であり、日本は中国と共存共栄を図ればよい。日本の10倍以上の人口を有し、25倍の国土を有する中国が日本やアメリカ以上の経済大国になることも全く問題はない。だが、中国は内部に抱えた問題故に、世界と妥協することが出来ず、今まで敵視政策を採ってきた日本と真の協調を取ることが出来ない。

中国がこのまま成長するには阻害要因が大きすぎる。古代に於いて中国の周辺に競争者がいなかった時期とは違う。中国の台頭が世界に悪影響を与えるからこそ、アメリカは警戒感を強め、周辺国や今ではアフリカなどからも反感を買い、世界中で中国排撃運動が起きているのだ。

ロシアも決して中国に心は許していないし、それはインドも同じ事だ。このような状態で、中国が世界一の大国になることなどあり得ない。もしそうなら世界が中国に膝を屈することを意味するが、それは世界は求めない。だから、中国が世界の工場であることは認めても、支配者となると話は別だ。

内外に大きな矛盾を抱えたもろい国、自重でつぶれそうになっている大国、それが中国の真の姿と言えよう。

ところで未だに日本経済が中国頼みであり、中国がなければ日本経済は成り立たないと言う人たちが居る。しかし、本当にそうなのかを数字で検証してみると



ジェトロ統計  2008年

1,506億4万ドル   (日本からの輸出)
1,161億3,245万ドル (中国からの輸入)

対中貿易黒字 345億ドル ¥100/$ として、3兆4千5百億円

同年、日本の総生産高は49,230億ドル 同490兆円

3.45兆円/490兆円 = 0.7%

つまり、日本経済が中国に依存しているなどとの主張には根拠が無く、この数字は単なる誤差の範囲でしかない。

むろん、それでもいくつかの日本企業が中国関連で利益を上げているのは事実だし、また中国も最近は品質が上がってきて、未だに低い労働力により潤っている企業があるのも事実だろう。

また、工作機械、高機能材料などの産業資材を中国に売って潤っている事実も否定はしない。だから、現実に今中国が急に崩壊したりすればある程度日本にも経済的な負担が生ずるのだろう。

だが、上記の数字で見る限り、中国が無くなって日本経済が立ちゆかないなどはあり得ない。むしろ、中国の急速な落ち込みにより国内不安が急速に膨らみ、それが日本の安全保障に対して大きな危険となることを予測しておかなければならないだろう。

中国に投資しろ、これからは中国の時代だ、中国がなければ日本は成り立たないと言う人たちは、それが商売なのだ。中国株を持っていれば、当然中国の有望性を宣伝し、人々を煽り立て、値が上がったところで売って儲ける。それが彼等の仕事なのであり、サブプライムローンでどれだけの人間がだまされたか、世界がどれだけ被害を受けたかを考えてみればよい。

中国に投資して儲かるなら、なぜ日本からの対中投資額が、対インド投資額を下回ったのか。如何に多くの日本企業が、中国投資でだまされ泣いたことか。その実態を少なくとも自分で調べてから、自分のリスクで中国投資でも何ですればよいのだが。

しかし、民主は本気で国を挙げて中国投資を押し進めたいらしい。

いずれにせよ、このような状態で、米中の2G体制の一翼を中国が担うなど到底無理であり、その能力はない。またアメリカもその点は良く承知しているだろう。オバマ政権は比較的中国に対しては融和的だが、それでも中国製品の洪水輸出、それによる失業の輸出、安全問題などがアメリカでも大きな問題になっているし、またアメリカ自体が経済的に大きく落ち込み、中国と事は起こしたくないだろうが、鷹揚に受け入れる余裕はない。

台湾への武器輸出、ダライラマ師との会見、グーグル撤退問題など、最近急に米中間がぎくしゃくしてきたのも、急速な経済力の増強に伴い中国がきわめて高圧的になってきた事への警戒感があるからだろう。

むろん、個人的には優秀な中国の指導層がアメリカと正面切ってぶつかる力が自国にはない事くらい承知しているだろうが、国民に情報を閉ざしてきたツケが回ってきて、今中国の指導層がアメリカに対し弱腰と見られる姿勢を見せると、それこそ中国政府が倒れかねない。

普通の国であれば仮に政権が倒れても、指導層は政権から降りるだけのことであり、生命財産がどうなるわけでもないし、次に政権を奪還する機会もねらえる。

しかし、独裁国家中国では、政権の座から引きずり降ろされることはすなわち生命財産の安全さえおぼつかないから、たとえアメリカと真正面からぶつかる力が自国にはないと知っていても、中国政府は強面の姿勢を貫かなければならない。これが、最近特に中国の外部に対する姿勢に融通性が無くなってきた理由だ。すなわち、これは中国の弱さを示している。

対日姿勢にしても、毒餃子問題を認めるわけには行かず、反日デモで日本公館を破壊しても正式に謝罪するわけには行かず、ガス田開発や尖閣列島問題で譲ることが出来ない理由だ。

中国には、他国に譲るという外交上の有効な手段を使う余裕がない。これでは世界が中国の台頭を脅威と見、中国に対する圧力は彼等の強硬姿勢に比例して強まるばかりだ。その状況で、国内には格差、腐敗、環境汚染などなど到底解決出来ない問題を抱えていて、しかも他国に弱みを見せられない中国がG2体制をとれるわけがない。

中国人が日本に来て買い物をする、上海北京には近代ビルが建ち並んでいる、高速鉄道が建設されているから中国は驚異的なスピードで近代国家になっているというのは、単にショーウィンドウの中の繁栄でしかなく、国民の数パーセントが富の大半を握っていて、国民一人あたりのGDPは世界の100位にも入っていない事実を覆い隠している彼等の精一杯の見せかけだと知るべきだ。人口が日本の10倍の国が、やっと日本と同じGDPに届こうかという事実、そして一握りの富裕層が日本の富裕層など足元にも及ばない豪華な生活をしているとは、残りの大半の国民は日本平均の10分の1より遙かに少ない収入で生きていることを示している。中国が日本以上の市場になり得ない事は小学校で習った算数でも計算出来ることだ。


中国はアメリカ国債をほぼ日本と同額所有しているが、最近大量にそれを密かに売ったことが分かっている。一方、日本は約束を守りアメリカ国際は馬鹿正直に抱え込んでいる。

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日本、米国債保有で首位…中国が売却か

1年4か月ぶり
 【ニューヨーク=小谷野太郎】米財務省が16日発表した国際資本収支統計で、2009年12月末時点の日本の米国債保有残高が、08年8月以来1年4か月ぶりに中国を抜いて首位となった。

 日本の保有残高は前月比115億ドル増の7688億ドル(約69兆円)と2か月連続で増加した。一方、中国の保有残高は7554億ドルと、前月比で342億ドル減らした。

 中国は外貨準備の多様化を進めており、保有の減少が続けば、国債を大量発行する米政府に打撃となる可能性もある。

 米国債の国別の保有高は、以前は日本が最も多かったが、08年9月に中国に抜かれて2位に転落した。

(2010年2月17日 読売新聞)

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これでは、アメリカが中国を信頼出来るはずが無く、G2として中国と並ぶことを認めるわけがないだろう。アメリカからすれば、やはり中国は大きくなりすぎたら叩かなければならない存在でしかない。